BLOG

新着ブログ

そこに『藍』はあるんか!? プレミアムギャッベの美しい藍色について

全国のK野さんとそれ以外の皆さんこんにちは。LAPIAS万代家具+Grace nagoya 1FスタッフのMです。

 

弊社のブログでもおなじみの大人気の品、イランの遊牧民カシュガイ族による手織り絨緞ギャッベの最高峰「ファーハディアン・プレミアムギャッベ」。

母から子へ受け継がれる織りの技術、伝統を守りつつ素材に最高級のクルディッシュウールを使用したまさにプレミアムクオリティの一品。

こだわりのクルディッシュウールは腕の確かな染職人によって伝統的な草木染めで染め上げられます。

その中でも特に美しいものが高クオリティランクのロリ・アタッシュ、そしてロリ・ナウバフトの藍色の品。

カシュガイ族の女性によって生み出される美しい藍色のグラデーションは見事の一言です。

135×90㎝

◎LAPIAS万代家具在庫よりロリ・ナウバフト。ザクロの木がリアルに描かれています。

 

120×80㎝

◎LAPIAS万代家具在庫よりロリバフト・アタッシュ。あえて柄はシンプルに。美しいグラデーション。

 

皆さんご存じの通り、日本でも藍は伝統的な染物で用いられ、当店のある愛知県でも名古屋市緑区の『有松絞り』が知られています。

現代では藍染めは高級な印象を抱きますが、江戸時代の頃は庶民的な染物でした。ラフカディオ・ハーン(小泉八雲)は著書の中で「日本は神秘的なブルーに満ちた国」と述べています。

ジャパンブルーと呼ばれる美しい藍色は日本のスポーツのナショナルチームのユニホームに使われるなど日本人に愛され続ける特別な色です。

 

日本で藍染めに使われる『藍』の原料は「タデアイ(蓼藍)」と呼ばれるタデ科イヌタデ属の植物で、葉を発酵させて可溶化することで染料にします。

藍染めに使用される植物由来の染料『藍』の原料は国・地域によって異なり、インドではインド藍と呼ばれるマメ科コマツナギ属の植物由来の染料、ヨーロッパではウォードと呼ばれるアブラナ科タイセイ属の植物由来の染料が用いられてきました。

自然界から抽出できる青色は限られ、特に植物由来の染料の中では青を発色するのは『藍』だけと言われます。

 

では中東の国、イランのファーハディアン社のギャッベの藍色はどんな植物由来の藍が使われているのでしょうか。

ファーハディアン社の毛糸を染め上げる染職人、その道45年のカラーマスター・アリさん(御年65才)に聞いてみましょう。

「アリさーん!あんた、そこに『藍』はあるんか!?」

!!!!!!!!!!!!!

なんと毛糸を青色に染め上げるのに『藍』は使われていないとのことです!

代わりに『合成インディゴ』が使われているそうです。というのもファーハディアンプレミアムギャッベの魅力である良質の油分を含んだ油抜きしていないウールの原毛は植物の藍では染められないとの事。

アリさんの腕でクルディッシュウールは美しい青色、ギャッベの織り手・カシュガイ遊牧民の言う『神の座の色』に染め上げられます。

では『合成インディゴ』とは一体!?そこで今度は『インディゴ』について調べていきましょう。

 

そもそも『インディゴ』は藍染めの染料に含まれる成分です。

インディゴ(indigo)はギリシャ語(indikon:インドの染料という意味)が語源と言われ、藍染めはインドで生まれて世界に広まっていきました。

天然素材からインディゴを作り出す天然インディゴの「ナチュラルインディゴ」。それに対して石炭より合成して作り出すものが合成インディゴの「ピュアインディゴ」です。

 

天然インディゴは先に述べた通り天然の草木より作り出した染料ですが、天然インディゴを用いた藍染めの染色法の原理は一般的な草木染めのそれとは異なります。

というのも藍は水に溶けないという性質を持つのです。水に溶けない藍を発酵させ可溶化し、染色可能な状態(日本では『すくも』と呼ばれる染料)にして染色に用います。

すくも作りはもちろん、すくもの状態管理、すくもを用いた染色など職人の長年の経験が必要で、藍染めは染める回数によって濃淡が生まれ「藍は48色ある」と言われている程です(白は200色あるとある芸能人が言っていますね)。

藍染めは職人技と言われるほど複雑なものです。

198×152㎝

◎LAPIAS万代家具在庫よりカシュクリ・バナッシュ。ギャッベの代表的なモチーフ「生命の樹」を中央に描いたミドルクオリティの品。

 

では天然インディゴと異なる『合成インディゴ』とはどのようなものでしょうか。

合成インディゴは石炭から石油ガスを取りガス灯が普及した19世紀末の1880年、その残渣であるコールタールを利用してドイツ人科学者「アドルフ・フォン・バイヤー」が生み出しました。

バイヤーは天然の植物性インディゴを分析し、石炭から天然インディゴと全く同じ成分構造を持つインディゴの合成に成功しました。

バイヤーはこの他にも「フェノールフタレイン」(理科の授業で習いましたね、あのアルカリ性に反応し色が変わる液です。テストに出ますよ!)を合成するなどの功績を持ち、1905年に「有機染料およびヒドロ芳香族化合物の研究」によってノーベル化学賞を受賞しています。

アドルフ・フォン・バイヤー  1835.10.31~1917.8.20

 

合成インディゴには不純物が一切含まれないことから『ピュアインディゴ』とも呼ばれます。

天然インディゴは不純物が混ざりやすく、それがかえって複雑な色を生み出しますが望みの色を出すのに手間と時間がかかります。

一方、石炭から人工的に作られる合成インディゴは純度が高く濃い色を作り出すことも出来て安定して染色を行うことが可能です。

これらのことからウォードを用いたヨーロッパの伝統的な藍染めは既に今世紀初めごろに途絶えたと言われます。

インドでも藍は現在ほとんど生産されず、藍色の染色は合成染料が主流となっているとのことです。

 

残念ながら複雑で手間のかかる藍染めの伝統が失われつつあるのは事実です。

伝統が失われて行くのは寂しさを感じることです。

実際にギャッベの織り手、カシュガイの方たちが自身で日常に使用するギャッベの毛糸は合成染料で染められた物が主流となっていると聞きました。

しかしそこで暮らす人たちの生活を無視し、外部から伝統を守るよう一方的に強要するのは誤りです。

品物によって天然インディゴと合成インディゴを上手に使い分けていくことが良いのではないでしょうか。

合成インディゴを使用するのは天然インディゴでは染められない輸出用として世界に誇る最高品質のクルディッシュウールを使用する為です。藍染めの毛糸は使用されてはいませんが、良質のウールを腕の確かな染職人が染め上げ、素晴らしい感性と技術を持った織り手によって織られ、イラン最高品質の仕上げが施されたプレミアムギャッベは間違いなく世界最高峰の品です。

 

プレミアムギャッベ工房「ファーハディアン社」は織り手に正当な対価を支払うことで、カシュガイ族の方たちの生活を守り豊かにすることと同時に『手織りの伝統の継承・保護』を掲げています。

真摯にギャッベの織り手と向き合うファーハディアン社だからこそ織り手もそれに応えて素晴らしい品質のギャッベを提供してくれます。

 

102×68㎝

◎LAPIAS万代家具在庫よりロリ・ナウバフト。カシュガイ族の遊牧の風景を描いた玄関マットサイズ。

85×56㎝

◎LAPIAS万代家具在庫よりギャッベ・ノマド。藍色ベースに可愛らしいモチーフを入れた玄関マット。ざっくり織られたリーズナブルな品。

 

LAPIAS万代家具では定期的にファーハディアン・プレミアムギャッベの展示販売会を開催しております。

200枚以上の個性豊かで品質の確かなギャッベが揃います。

今後の予定は以下の通りとなっております。

 

◎LAPIAS万代家具 一宮本店北館にて

2024年3月29日(金)から4月1日(月)まで

営業時間 10:00~19:00

 

◎ブランドベッド専門店 メザメ(Me THE Me)にて

2024年4月5日(金)から4月8日(月)まで

営業時間 10:00~19:00

 

※当、LAPIAS万代家具+Grace nagoyaでの開催は6月末頃を予定しております。

※本ブログにてご紹介致しましたギャッベは全て一点物です。完売の際はご容赦下さい。

 

LAPIAS万代家具+Grace nagoyaでは国内外のラグ・絨毯を常時種類も豊富に取り揃えております。ラグ・絨毯をお探しの方はぜひ当店までお越しください。皆様のご来店お待ち致しております。

 

 

店舗情報